百姓堂本舗
弘前シードル工房kimoriを運営する株式会社百姓堂本舗は、農業は農業者だけのものではなく、消費者、つまり「もの食う人々」すべてにかかわる仕事であると考えています。収穫の喜びを多くの人々に伝え、わかちあうこと、これが私たちの第一の仕事なのです。


りんご産業を未来に繋げたい

■農業の現状をどうにかしなければ

岩木山の裾野に広がる広大なりんご畑。雪解けとともに、一斉に芽吹き咲き誇る白い花。夏には日差しを避けて鳥が集まり、秋、赤いりんごがたわわに実る。りんご畑のある風景は、単に産業という枠を超え、私たちの故郷の姿として誇るべき財産です。このりんご産業は、明治期に始まりを迎えましたが、簡単に根をはったわけではありません。黎明期に直面した病害虫との戦い、大正期に迎えた選定方法の試行錯誤、そして戦争や災害、輸入果実との競合など、時代ごとにりんご農家は地域と一丸となって苦難を乗り越えてきました。今あるこの美しい風景は先人からのバトンを繋いできた結果ともいえるのです。
しかしいま、そのりんご産業は大きな岐路に立たされようとしています。
高齢化や後継者不足、異常気象など、りんごをとりまく環境は大きく変化しました。そのなかで、少しずつ担い手のいないりんご畑が増えてきています。岩木山を背に広がるあの美しい景色は、今も少しずつ失われているのです。
遠くない将来、本当にこの風景がなくなってしまうかもしれない。そうした危機感を多くの農家が切実に感じています。
そして2008年。降雹被害で津軽一帯のりんご農家は大きな被害を受け、行き場のない多くのりんごが廃棄されてしまいました。
1年間大切に育てて最後に捨てるなんてやりきれない。この現状を少しでも変えたい。そうした想いからkimoriのプロジェクトがスタートしました。

この地域のりんご産業の危機を地域の方々に知って頂き、さまざまな想いを共有したい。そのためにはまずりんご畑の中に足を運んでもらい、のんびりとすごしてもらいたい。そしてそこに人を繋ぐ場に特別なお酒があったら…。私たちは「りんごのお酒・シードル」をりんご農家の自らの手で、そしてりんご畑の中で作ることを決意し、「農家の庭先でシードルを」をテーマにプロジェクトを進めてきました。
ぜひ想像してみてください。りんごの樹の木陰に仲間が集まり、りんご箱に腰かけ、シードルを楽しむ…豊かなことだとは思いませんか。この街だからこそできる贅沢だとは思いませんか。

訪れた誰もがりんごのある暮らしの豊かさを感じられる。kimoriはそのための集いの場でありたいと考えています。
この街の大切な財産を分かち合い、楽しみ、守り伝えるための小さな一歩…、kimoriは、あなたがこの街に植える小さなりんごの苗木なのです。

株式会社 百姓堂本舗
代表取締役 高橋哲史

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